新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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天涯の涙…1

SS 愛してはいけないから(番外編…ミシル)


『天涯の涙』…1


*******


絢爛と咲き誇る新羅の蘭華…

その女は誰よりも美しく聡く気高く生まれた…

誰もその女の魅力にその微笑みに敵うものはない、王でさえ閨の中では彼女に膝まずく。


だが…その知略も美貌も全てを凌駕する女は聖骨として生を受けることはなかった。

ただそれだけのことが、新羅に乱を呼ぶ…





「いかがでございましょう」

主の望むことのみを行うよう厳しくしつけられた女官が銀細工の手鏡をその主に手渡しながらそう尋ねた。

女主はじっと鏡を見た、そこに映るは一部の乱れなく優美に整えられた髪と宝玉の髪飾りに縁取られた自らの美貌、それを眺め微かに笑い完璧な配置にあった簪を一本ふいに抜き取り不安定に斜めに差し直した。
そうすると、その簪が揺れて僅かに女の顔に陰を落とす…
唇の端を少しあげて微笑んだ彼女は耀くばかりの美しさのなかにその揺れる簪のような妖しさを一瞬で自ら潜ませた。


その時…

「ミシル様ソルォン様がお見えにございます。」

女官が来客をつたえた。

「…お通しして」

化粧を整えたミシルの部屋へ入って来たその男はまだ若い武将らしい清々しさを持った大帝の側近であった。


「……」

「………」

二人は静かなゆっくりとした朝の柔らかな日差しのさす中僅かな間見つめあっていた。
そして…

「璽主、」

ソルォンの緊張した眸とミシルの透き通るように澄んだ眸がぶつかりあいそして絡みあった。

彼女は男をなおも見つめながら言う。

「きっと陛下は貴方をお呼びになります明日か、いや今夜にも」

「……」

「このミシルは今日の命をソルォン様に預けます」

「!璽主…」

「このミシルの夢を叶えてくださいますか」

「…璽主私はもはや陛下の臣にあらず、このソルォンがお仕えするはただお一人にございます。」

ミシルはソルォンの眸の中にある男をその眸で捉え…
カタリと椅子から立ち上がりソルォンの肩に手をおき一瞬寂しげな少女のような顔で彼の胸に頬をよせた。


そして…

「ソルォン様のお心このミシル確かに賜りました。」


そう言って顔を上げた彼女の顔にはもうどこにも少女の面影などなくこの新羅に君臨しようとする何者にも動じぬ覇者の顔があった。



チヌン大帝はその日の宵璽主に遺言を託した、それは全てを見抜くはずの一手であった…

“後継者は太孫ペクチョンとしウルチェを上大等に任じ、法に従いクンニュン皇子と璽主ミシルはすべての政務から手を引き大帝の死後は仏門に帰依せよ”…と

ミシルにとって大帝と新羅は一つであった、だがこの時予期していた通り彼女の中でそれは分かれた。


昔、大儀など見えぬほどサダハムを恋し失った時の涙…
今、チヌン大帝と新羅、一つであったものが分かれた時の涙…

それは彼女ミシルにとってこれ以上の悲しみなど有るべきはずが無いと思い誓う涙であった。

(心から流す涙などもうこのミシルにはない…)



何かが音を立てて動き出すそんな天の波動がその夜ソラボルを包んだ

「璽主、陛下は全て見抜いておいででした」

寝台に横たわりソルォンから渡された大帝の詔勅を彼女は見つめた。


“新羅の敵ミシルを殺害し大儀を立てよ”と


彼女はゆっくり身をおこし艶然とした微笑みで


「陛下は新羅の最も偉大な王です、優れた眼識と洞察力をお持ちです」

「お悩みになりますか?」

「………」

「…お悩みなら新羅の敵このミシルを殺し大儀をお立てなさい」

彼女は本当に優しくたおやかに囁くような声でソルォンの後ろから彼の躰を包むようにそう言った。

「このソルォンは四年前すでに私自身の運命も新羅の運命をもすべて璽主に託した身です…」

大帝は知らない信頼すべき花郎の中の花郎ソルォンの心も躰も魂でさえミシルの手の中に堕ちたことを…

「では…ソルォン様はいかがなさるのですか?」

ソルォンはその時彼の背に軆を寄せる彼女の内側から強く、だが煙るようにただよう高雅な時代の芳香を感じた。

(時代の主になるはこの御方だ!)

若きソルォン頭の中にそう凛々と響く己自身の声をがあった。

ソルォンはグイと女の纏う透けるような薄紫の衣が乱れるほどの強さで彼女抱き締めた。

そしてミシルの艶やかな眸は煌めき

「準備なさい…」

ミシルはソルォンの心いや魂に直接話すようにそう言った。



「…かたづきました」

返り血をあびて頭を垂れるソルォンにミシルは微かに笑みを浮かべた、その夜月城はミシルの掌中に落ちた。

チヌン大帝という偉大な星が新羅から消えた日ミシルという大輪の華は大帝の鎖を破り見果てぬ夢をめざす…

(だが…あと一つ仕上げが必要なのだ…)

「このミシルが王妃にならなくては。」

その野望を果すためミシルの軆は大帝の息子、大帝の意志から外されたクンニュンの元へと向かった。

「遺言は…変えられます」

「この手をお取りなさい玉座をお望みなら…王の座は皇子様のものですそしてこのミシルも‥」

「ミシルを王妃になさいますか…?」

ミシルと皇子の影は重なり闇は月城を深く包んだ…


だがクンニュンは愚かにも彼女との誓約ともいえる誓いを破った。
誇り高きミシルにその罪を許すことが出来ようか?
否。
決して許しはしない。
王妃になることを阻まれた!
このミシルに側室になれと!?
彼女は自分の胸に抱いた吾子を王の去った玉座の前にそっとおいた。

「ごめんね…もう私にお前は必要ないの…」

二度と触れることない吾子を見つめ彼女の眸から枯れたはずの涙が一粒流れた…

そしてみどりごの声だけが母も父も去った玉座の前に響いていた。

その日ミシルの心に残っていた最後の涙が消えた。

天理を彼女はその掌に掴んだのだろうか、そして璽主の頬から消えた涙の行方など誰一人追うものはいない彼女自身でさえ…



新羅を統べる時代の主

“北斗の七つ星が八つにならぬ限り…”

ミシルにかなう者はまだあらわれない。











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この記事のコメント

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2012-01-09 Mon 11:28 | | # [内容変更]
ミン様へ

こんにちは、うさこは今日TUTAYA で赤と黒を三つレンタルしてきました。
まだ見たことなかったので(笑)
 ̄(=∵=) ̄はなんでも遅いヤツなんです。流行りものもだいぶたってから気づいたり←すでに大抵流行ってません↓



今回の『天涯の涙』は ̄(=∵=) ̄にしては珍しくオリジナル(ドラマ)を踏まえて書いていこうかな…と思っております。
でもこれは思ったより難しいですね。
元のドラマを損なわず自由なる二次を繰り広げるというのは…
ちゃんと行き着けばいいのですが。

>ミシルの「ソンゴルになぜ生まれなかったのでしょうと いう」・・・ソルォンへの愚痴を聞いて、「王妃にして あげればいいのに」と思ってしまう、私でした(笑)

うん、本当に。
ミシルが王妃になれていたらきっとトンマンは宮殿で育ったか少なくとも捨てられはしなかったと思います。
ピダムは当然皇子様だし。

>素敵なお話ありがとうございました。(*^_^*)

いやーとんでもないです。
今回は頭に浮かぶものをドラマのなかに置く(あれ?反対かな?)の作業の難しいさを知るばかりでした、が…このお話まだまだ続く予定です。
(無謀な ̄(=∵=) ̄です) ←笑い

そして、ミン様のブログ訪問はうさこのすでに日課!?(笑)となっております。←もう行かずにはいられない的な感じです(爆)



今夜はロールキャベツと里芋とお揚げの炊いたんをつくりました。 ̄(=∵=) ̄のロールキャベツは鶏ガラスープと昆布出汁のあっさり味です。

なんとなく晩御飯の紹介でした(笑)

それではまた…


2012-01-09 Mon 20:27 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #- [内容変更]
うさこ様

ミシルのお話読みたいです(*^_^*)
私も、フクヤ会の夜みたいな感じで、ミシルの生涯に想いを馳せているのですが、ドラマ版は言葉自体がよく理解できてなくてなかなか文章にできません。

是非うさこ様の想いを拝読したいです。

晩御飯の紹介も楽しみです。
うさこ様宅のお食事はいつも、湯気がホカホカ出ているイメージがして、寒い今の時期は読んでいてホッとします。
ただ、最近、なぜか、ニンジンを食べたくなる私はもしかしたら、うさこ様が乗り移っているのかも(笑)
2012-01-10 Tue 13:35 | URL | ミン #- [内容変更]
ミン様へ

こんばんは


今朝 ̄(=∵=) ̄の家の桃木を見て思ったのですが…
(うさこの家にはたくさんの桃の木があります)←小さな家を囲む桃木です。
冬だ冬だと思っていても木々をよく見ると本当に小さな硬い蕾がたくさんあるのに驚かされました。
冬のなかにもどこかに春…



>ミシルのお話読みたいです(*^_^*) 私も、フクヤ会の夜みたいな感じで、ミシルの生涯に想いを馳せているのですが…

ありがとうございます(ぺこん)
トンとピの物語ではなかなかドラマ仕立てを書くことができません理由は、書けばピダムの乱で悩むことになるしそこを書けば書いてしまわなくてはならなくなる?かもしれないので。

でもミシルについてはむしろドラマ仕立てで書きたいと思うからです。
理由は、ミシルの堂々としたある意味美しい生きざまと死にざまそして失った涙の行方を書けたらいいなぁと。これじたい ̄(=∵=) ̄物語の終わりはよくわかってはいませんが。
いつかトンピでドラマ仕立てを書くためには一度はやってみておく必要があるようにも思ったので…。

>是非うさこ様の想いを拝読したいです。

ありがとうございます。時間がかかるかもしれませんがミシルについては少しづつ書いていこうと考えています。
(駄作、駄作と思っていたらこういうことか!!という膝ポンの結果になれるよう書いてみます)←万年駄作のくせにね ̄(=∵=) ̄(笑)



>最近、なぜか、ニンジンを食べたくなる私はもしかしたら、うさこ様が乗り移ってい るのかも

うさこはニンジンも育てています。
なのでうさ家ではいつも形は悪いけれど無農薬、有機栽培の新鮮ニンジンです(笑)

ミン様から頂いたコメントでなんだかほっとした ̄(=∵=) ̄です。(ぺこりん)

書こーっと!!←まるで子供(笑)

2012-01-11 Wed 00:06 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #- [内容変更]
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