新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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白春の午後

SS 愛してはいけないから


『白春の午後』


*******


春の中の春…


その寂れた寺の辺りはにわかの女王の行幸に、野の花も蝶も小鳥の囀りでさえなにかしら華やぐようであった…


「ピダム…どの辺りだ…」

女王は輿の中から声をかけた。

「もうすぐでございます陛下。」

輿に馬をゆっくりと並び歩かせながらピダムは答えた。

「…そろそろこの窮屈なものから降りたい」

ぷすりとした声で女王は言う。

他の者やまして宮殿では決して言わない彼女の甘えたようなピダムに向ける我が儘な言葉を聞き思わず破顔した。

「お降りになりたいですか?」

「…降りたい」

「もうすぐ着きますが…」

「降りたい」

今度は我慢できずピダムは盛大に笑いお付きの女官や輿を引く者共を大いに驚かせた。

そして輿の垂れ絹を片手で上げ半身を輿の中へ入れ女王の腰を抱きよせて素早くだがおもわず追いかけたくなるような唇づけで小さな声を彼女に上げさせた。


「アッ…ん」


ピダムはそのまま彼女を引き寄せるように抱き上げて自らの馬へ同乗させた。

「ピダム!」

「陛下、ピダムと参りましょう」


「…お前が、そうしたいならそうしてやってもよい」


ピダムは少し拗ねたようにみせる物言いの可愛いらしさに彼女の腰に回す腕に僅かに力を入れ

「そうしたいです。ピダムは陛下とご一緒したいです。」

「ピ、ピダム声が大きい。」


「……誰も聞いておりません…」


「………」


やわらかく木々を揺らす風の音がした。


めったに人など通らぬ烏鷺寺へと続く山道を淡紅色に翠色の細い糸で模様のある衣の女と普段は黒しか着ぬのに珍しく蒼色の衣に鈍色をおびた山吹の帯姿の男はゆっくりと歩む馬の背に揺られていた。

「ピダム…静かだな、」

「烏鷺寺は昔私が師匠と暮らしておりました頃過ごした場所…」

「…ああ…出会った頃そうであったな、まだお前は国仙と一緒であった。」

「今はもう、ただの山奥の荒寺…」

「だが、お前がいた寺だ」

その言葉にピダムは心に刺さり抜けずにいた淋しさという棘がとれ温かな手があてらた、そんな気がした…。

「……陛下」


寂れた寺は今も変わらずまるで誰かを待つようにそこにあった。

「お手を…」

「…ああ」

踏降りた草からはやわらかく青い香りが立ち深山の景色の中に広がっていった。

「陛下、お見せしたいものがあるのです」

「…?」

ピダムは女王の手を引いた。

「誰も知らない春をお見せしたいのです。」

小首を傾げるように彼女はピダムを見つめ

「連れていけ…お前の春へ」

そういってキュッと手を握り返した。


深山の奥のその奥へつづら折りの道を二人は歩いていった。
言葉は交わさぬ…
ただ繋いだ手が二人の心を語っていた…


木々が分かれ表れたその景色は女王を魅了した…

「ピダムっ…」

そこには幾本もの山桜に囲まれひっそりと、うつしよのものとも思われぬほどの樹齢を重ねた桜の大樹があった…

言葉もなく見つめるトンマンの頬にピダムはそっと唇をよせた…

「ピダムぅ…」

そして花弁よりやわらかい彼女の唇に深く口づけた。


「やっ…ン、花が見ている」

その言葉を聞き不意に彼女を包むように抱き花から隠すようにふわりと後ろへピダムは倒れこんだ…


「あっ…ン」


静かに白い山桜の花がそよそよと風に散り、まるで空高くから舞い降るように二人の上に積もっていく。
静かな人里知れぬ深山にただ二人…

倒れこんだピダムの胸に抱かれてトンマンはこの時の中に閉じ込められていたいと思った。

ピダムは…じっと彼女を抱き締めながら


(降る花の白さ、儚いようでいて何にも決して染まらぬ美しさ
“トンマン…天地にただ一人の女”)

そうそっと心で言った。


花は音もなく散る…


それは…
鳥とそよぐ風のみが知る白春の午後であった。














*あけましておめでとうございます。

今年最初のSS は春の午後、春の中の春の二人を書いてみました。

ただ一人の女を愛し続ける男…
たった一人の男の腕を求めてしまう女…
でも二人は臣と女王…
今年もそんな二人を書いていけたら、と思っていたうさこの頭に元旦未明に浮かんできたお話 です。

今年も ̄(=∵=) ̄なりに楽しんで参りたいと思っております。
皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。(ぺこりん)
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この記事のコメント

新年 明けましておめでとうございます。<(_ _)>

昨年中は仲良くしていただきありがとうございました(*^_^*)

うさこ様も8月からブログ始められたのですね。
私も8月にこちらで始めました。
なんか、嬉しい(笑)(*^_^*)

今年もよろしくお願いいたします<(_ _)>

2012-01-02 Mon 21:30 | URL | ミン #- [内容変更]
ミン様へ

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願い申し上げます。

>うさこ様も8月からブログ始められたのです ね。 私も8月にこちらで始めました。 なんか、嬉しい(笑)(*^_^*)


そうなんです…それまでは ̄(=∵=) ̄がブログするともしたいとも思ってなかったですし、何か書いてみるとか二次創作ということも知らないうさこでした。(笑)
なので今も知らないことやわからないことだらけです…(爆)


うさこはミン様から頂くコメントはなにかしら心に残り考えることができるのでとってもためになります。(にこっ)

『月床』でヒョンジョンがトンを烏鷺寺に連れて行くとこのシーンに頂いたコメントがうさこの心に残っていてパラレルワールドのピダムとトンで今回もう一度その設定を少しアレンジ?してつかってみました。

ミン様のお話うさこはとても参考になります。よろしければ今年も感想やご意見をどうぞお聞かせください。(ぺこりん)

それでは…
うさこはミン様のまたのお越しを楽しみにお待ち申し上げます。

2012-01-02 Mon 23:21 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #- [内容変更]
うさこ様、こんにちはーv
年始のSS…うさこ様のトン&ピはこんなに大人っぽく美しいのに、私のトン&ピは……と反省しました(笑)

女官緋翠的には、ピダムがトンマンの輿に乗り込む行に凄くドキドキしました。

> そして輿の垂れ絹を片手で上げ半身を輿の中へ入れ女王の腰を抱きよせて素早くだがおもわず追いかけたくなるような唇づけで小さな声を彼女に上げさせた。

この、輿プレイ!!(←違) 脳内でお二方に演じて頂いたら、鼻血ものでした(爆)
うう…こう言う文章、書いてみたいですー!
「お前の春へ」と言うトンマンの台詞も、妄想派の私にはなんだか色んな意味に聞こえて、「白い山桜の花の中で何してるんだ、けしからん!もっとやれ!」とテンパっています(*/∀\*)キャー

……新年早々、アホなコメントを失礼しました(笑)
こんなヤツではありますが、今年もよろしくお願いいたしますv 今年も、うさこ様の美しいトン&ピをたくさん読める幸せを噛みしめていきます!(・∀・)
うさこ様にとって、実り多い一年になりますように。
2012-01-03 Tue 11:29 | URL | 緋翠@赤面女官 #3GLxEfT. [内容変更]
緋翠様へ


新年あけましておめでとうございます。



今夜の ̄(=∵=) ̄家の夕食は水炊きです(鳥のぶつ切りに白菜、おネギやお豆腐など…)
柚子たっぷりのポン酢。

そしてお風呂も柚子でぽかぽか♪

うさこは冬は柚子のお風呂、夏はローリエのお風呂に入るのが好きです。



>女官緋翠的には、ピダムがトンマンの輿に乗り込む行に凄くドキドキしました。

>この、輿プイ!!(←違)

ぷっ(笑)
おもしろいですーぅ!
お付きの女官たちは心の中でそう突っ込みをいれたのかも…(くすくすっ)


>「お前の春へ」と言うトンマンの台詞も、妄想派の私にはなんだか色んな意味に聞こえて…

ほんとだー(目がまんまる!!)
言われてみたらそうも聞こえるぅ(笑)

>「白い山桜の花の中で何してるんだ、けしからん!もっとやれ!」とテンパっています(*/∀ \*)キャー

くすくす(笑)
くすくす…まだ笑ってる ̄( 〃▽〃) ̄
あとでこっそり桜の下の二人のらぶらぶ?書いてみぃーよう。(←子供かぁうさこ!?←違うけど。)

緋翠様、うさここそ緋翠様のトン&ピいつも“あ〜いいなぁ”と思っています。←そして ̄(=∵=) ̄の書いたものを思い出してパタンとその場に?よく倒れます。(あはは)

今日は ̄(=∵=) ̄夜の庭園に呼び出された気分です。(←どんな気分!?笑)

そして…とってもいい夢がみられそうです(にっこり)

緋翠様こんな ̄(=∵=) ̄ですが今年もよろしくお願い申し上げます。(ぺこりん)
2012-01-03 Tue 19:38 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #- [内容変更]
うさこ様

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

新年最初のSSはまた凄く美しいですねーv
そしてピダムだけに甘えたを言うトンマンがとてもかわいくて、私も思わず唇を近づけたくなってしまいますが(変態注意報)、某司量部令の殺気が怖いので自重いたします…
こんな私ですが、今年も遊びに来させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたしまーす(*^^*)
2012-01-03 Tue 21:26 | URL | mukuge(むくげ) #FvLIUmYM [内容変更]
mukuge様へ

こんばんは ̄(=∵=) ̄

今夜はワインとチョコをいただきながらまったりしてます。←到来物ですが…(笑) この季節はいろいろ頂きものがうれしいです… あんまり買わないものとか珍しいものとか…もらう感じ。(なんだか飴をもらう?子供みた い)←子供は飴ではよろこばないのかしら(笑) ちなみにこの年末年始 ̄(=∵=) ̄的にうれしかったのは一保堂のお茶です。 そんなちいさな嬉しさでにこにこのうさこです(笑)



>新年最初のSSはまた凄く美しいですねーv そしてピダムだけに甘えたを言うトンマンがと てもかわ いくて、私も思わず唇を近づけたくなってしまいますが (変態注意報)、某司量 部令の殺気が怖いので自重いた します…

ピダムに甘えるのはドラマでもですが… うさこのところのトンは凶悪なまでの甘えっぷりです(笑) ピダムも、う〜っ!腹立つくらい可愛い!!とか思ってるのかも? なので愛も嫉妬も欲望もいつも極限点を越てえてしまいます。

>こんな私ですが、今年も遊びに来させていただきますの で、どうぞよろしくお願いいたし まーす(*^^*)

こちらこそよろしくお願い申し上げます。(ぺこん)

mukuge様のお越しをうさこはきっとお待ち申し上げます。(にっこり)

PS.mukuge様からのコメント春の香りのようにうれしかったです(にこっ)
2012-01-04 Wed 00:03 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #- [内容変更]
うさこ様、こんばんわです!

ご無沙汰している私、ちょっと気が遅れてしまいますが・・・・・・  しっとりとした2人に、胸がときめきます。

表立っては沿えない2人の、切なくて、でも愛しい時を、今年も読ませてくださいませ

改めまして、あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いいたします!

ちょっと横道に行っちゃう私ですが、これからも付き合ってくださいね☆

2012-01-06 Fri 18:36 | URL | すー※さん #TNX8eFSQ [内容変更]
すーさん(様)へ

謹んで初春のおよろこびを申し上げます(ぺこりん)


>・・・・・・ しっとりとした2人 に、胸がときめきます。

>表立っては沿えない2人の、切なくて、でも愛 しい時を、今年も読ませてくださいませ

すーさん(様)のお心に叶うものが書けますか少し心配ですがうさこは心に浮かぶまま楽しみながら書いていけたら…と思っております。

>ちょっと横道に行っちゃう私ですが、これか らも付き合ってくださいね☆

ありがとうございます。
 ̄(=∵=) ̄こそよろしくお願い申し上げます。(ぺこりん)


2012-01-07 Sat 19:13 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #- [内容変更]
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