新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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春水に臥す  前

雪を溶かし土を潤す春水を聴く…それは



天と地が一つになる処
全てが始まり終わる処

新羅


これはその国の一人の女王と、遥か時の果てまで名のみ伝わる一人の男の物語…





SS 愛してはいけないから

『春水に臥す』前


山里の雪間に春が今、産まれる。
それは芽吹いたばかりの草の命の輝き。

新羅の永い凍てつく冬がようやく終わりを告げようとしているそんな季節…

ピダム公はまだ帰らぬ

それは数日ほど前のこと…


「陛下ピダムを暫くお貸し願えませぬか?」

にこやかな笑顔をむけてチュンチュがそう言った。

「…ピダムを貸せとは‥またなにを…」

「いえ、陛下この度唐におりましたころ私が世話になりました豪商が私の別邸へ挨拶かたがた遊びに参りますといって勿論商人、商売の話しもあります私はこの新羅の品を高く買わせたいと思っておりますがそこはやはり相手もなかなかの者唐でこの私に目を留め親交を深めたくらいですから」

チュンチュはちゃっかり小自慢を忘れない。

「それとピダムといったい何の関係があるというのだ?」

「そこです叔母上」

チュンチュが陛下と言わずに叔母上などと呼ぶ時素直そうな中に潜む彼女にうんと言わせてしまうような押しの強さがあった。

「ピダムは剣の達人でなかなか頭脳明晰な奴です…そこで一役かって貰いたいのです」

女王はいつにも増して饒舌な彼の話を黙って聞いていた。

「…………」

「ピダムをお貸し頂けてましょうか?」

「その大人が刀剣を好むと申してもピダムは使い手ではあるが刀剣の善し悪しの目利きが出来るとは聞いておらぬし囲碁はたしなむらしいがその唐で流行りの八八象棋とやらで大人に一泡ふかせるなど出来ようか…そなたの方が得意なのではないのか?」

「いや、まったくその通りでございますですがこの度はまるっきり勝ってしまってもダメですし負けすぎてもいけないもうひとり誰か欲しいのです…そこへいくとピダムはうってつけ」

「ふぅーむ…要するにピダムの腕のを借りて交渉を優位に持ち込みたいが自分で頼み難いゆえ私を使う訳か」

と言い笑いながらすました顔の甥を軽く睨んだ。

「そういうことになりますか」

チュンチュも笑った。

だがチュンチュはもうひとつ女王に言わずにおいたことがあった。
それは大人は手土産として美しい女を伴ってくる、その貰い手としての役をピダムに押し付け困らせてやろうと思っていたのだ。

(あの大人のことかなりの美女を蓄えておるとか、さあピダム…面白くなるぞ)



ピダムは司量部の執務室の卓上に肘をついて顎を乗せ眉尻を上げてしかめっ面をしていた。
それは先程いつものように女王の執務室で政務報告が一段落ついた時のこと、女王がいつになく言い出しにくそうに
だが意識してかせずか憎らしいほど可愛らしい眸の力を発揮しながらこう言った…

「ピダム一つ頼みがあるがきいてくれるであろう?」

「…勿論でございますが陛下がそのように申されますのはいかようなことでございましょう?」

「うんっ…ちょっと新羅の為に一働きしてもらいたいのだ、唐からくる大商人を一人もてなしてもらいたい、といってもそう気負う事でもないもてなしの手助けをして我が国の物を買い付けさせるというようなことだ」

「………で、何方の手助けを致せばよろしいのでしょうか?」

ピダムは何となく嫌な予感を感じながら嫌々のように訊いた。

「それは、うん実はチュンチュだ」

思いきったようにトンマンの口が告げたときのピダムの顔といたらなかった…
嫌です!とはっき顔に書いてあったからだ。
トンマンは困ったような顔をして恐る恐るのように上目づかいで彼を見た。

「お前…これは私の頼みだから断ってはダメだからな」

「………狡いですねチュンチュ公は‥畏れ多くも陛下を使い私の承諾を得ようとは」

「狡くなんかないぞ!しいてゆうなら新羅の為の大いなる計略だ」

(ですからその計略が小狡いのではありませんか)

そうは思いはしても彼女は真剣に甥の頼みをきいてやりたいのだろうし…唐の大商人との交易は女王としても気になるところではあろう。

「…分かりました、陛下の立ってのお望みとあらばこのピダム微力ながら力を尽くします」

「………うん、でもなるべく早くその計略は成し遂げられなくてはならない」

「……?分かりました」

「ピダムはチュンチュに従いチュンチュの別邸に暫く滞在いたせ、かの大人は久しぶりの再会ゆえゆるり滞在いたすと聞いている」

ゆるりと、と聞いてゆるりと滞在などには付き合いきれぬ、とピダムは思いトンマンの“でもなるべく早くその計略は成し遂げられなくてはならない”言外に漂う本当の意味を察して少し嬉しそうにそう言った。

「………出来うるかぎり手尽くし早く戻ります」

「…………ああ」

嬉しげなピダムになんとなく意地を張るようにぶっきらぼうにトンマンは応える。
ピダムはその頬に手を伸ばしたい心を押さえ頭を垂れて命を遂行すべくその場を辞した。


“ピダム、本当には側を離れてはならないんだから…”



春の目覚めを騒がせる、春の心を騒がせる…駒の行方は誰も知らない。








*続きます
えーっとしかももしかしたら修正するかも…すいませんゆるゆるで(笑)

小さな春をお届けしてみました󾬏


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