FC2ブログ

新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨

SSS淡い月

満ちてゆく燦煌の淡月…それは



天と地が一つになる処
全てが始まり終わる処

新羅


これはその国の一人の女王と、遥か時の果てまで名のみ伝わる一人の男の物語…





SS 愛してはいけないから

SSS 『淡い月』


青い青い空
その空に白く透けるような月の姿…
真昼の月は宇宙を垣間見せる。



ピダムは先程から女王のその白い滑らかなうなじから目を離せずにいた。

「ピダム公」

ヨムジョンの声に僅かにハッとしたようにピダムがそちらに顔を向ける。
女王も訝しげに彼を見た。

「ピダム、何かこの件で気になることでもあるのか?」

錦糸に縁取られたに光沢のある青に薔薇色を織り込んだ衣を纏う女王は涼しく怜悧な眸で彼に問うた。

「いえ…」

「………」

ピダム配下の司量部の者達は密偵や査察などは勿論その仕事は多岐に渡っていた。
この案件もここ一二年不作続きで穀物の値が安定せずそれによって相場を動かす者たちの中には悪徳な者もかなりいる。だが取り締まったとしても鼬ごっこでらちがあかない…そういった内容である。

「取り締まるばかりでもそれが最良の策とは申せぬ、いろいろ試させてはみたが…」

「……陛下気候を人が左右することは叶いませぬが、しかし土ならできるのではないでしょうか?」

「…土?しかし土ならもう良質の鉄で作った農具を与えて耕すのに安いはず」

「はい、確かに穀物を作るのにはまず農地が要ります、しかしながらそれだけでは土はできません。」

「続けよ…」

「はい、よい収穫を望むなら作物に適した土が必要です」

「なるほど…」

「ですから作物ごとによい収穫を上げた土を調べその者たちが土にどような肥を施したかを調査いたしました」

ヨムジョンがピダムに纏めた資料を渡す。
女王の元へは普段一人で参じるが今日は資料の多さから珍しくヨムジョンを伴ったのである。

「穀物の中でも豆が保存にことのほか優れていて米や麦に比べ様々な季節で様々な種類が収穫できます、そこで調べました豆は米糠、蝙蝠の糞、貝や卵の殼、鶏糞など混ぜた土がことのほかよく収穫をあげております」

「……なるほどで?」

「こういったものを最下層で苦しむ者たちの仕事の糧となるよう従事させてはいかがでしょう」

「そうだな…なかなかいい、しかし今回これは広く民に知らせてやるがよい、他の穀物についても引き継ぎ調査いたせそうしてこういった事を商うものもでてこようがそれはまた後のこと我らは一粒種を撒くにすぎぬ…しかし民は思いもつかぬ工夫をして芽をだすピダム制度を整えてるのはその後だ」

「…はい」

「ヨムジョン公御苦労であった下がってよい」


ヨムジョンはちらりとピダムを見て女王に頭を垂れ書類を纏めて退出していった。

トンマンはピダムにむけて微笑んだ…またその白いうなじがピダムの視線を捉え彼の胸を高鳴らせたがあくまで冷静な声で

「この事を調べさせておりまして気づきましたが作物の肥やしも大切なら実り多いその土地にあう種もまた大切こちらもより良いものを見つければ民の助けとなり国益にも繋がりましょう」

続きのピダムの話を聞きながら少し驚いたように彼女は眸を輝かせ

「…抜け目ないな」

と笑った。

ピダムは立ち上がって女王に近づき

「その方がお好みでは?」

そう言って近づきすぎる一歩手前で止まり言葉とは裏腹な熱のあるような眸で女王を見つめた。

「…ふんっ、お前に私の好みが判るというのか?」

「…陛下私は命さえ躊躇いなく捧げこの身に代えて陛下をお守りいたします」

揶揄されたと思ったのか彼の激しい一面が燃えるような言葉となってトンマンへ向かった。

「それが私の好みか?…」

「違いますか?」

ピダムの真っ直ぐな想いだけが彼女にその言葉を紡がせる

「命は失ってはならぬ…そうなれば私は愛しい男の腕に抱いてもらえなくなるからな…」

女王の言葉に驚きと押さえ切れぬ嬉しさと少しの照れくささで彼は珍しく口ごもりながら

「…そのような言葉…口にされれば私は往生際がおもいっきり悪くなってしまいますよ」

「私が欲しいなら潔い奴ではダメだ…抜け目がなくて往生際が悪いくらいがいい…それに」

「それに?」

「…これ以上は秘密だ」

(それから何より大切なのは新羅で一番純粋な男、女王に恋しているなどと言う男…だから、お前がいいんだ…)

そういってはぐらかして笑い書簡へと目を移そうとした女王の肩にピダムは手をかけて自分の方へと向かせた。

屈みこむようにして唇に淡く口づけ驚いてピダムを押し戻そうとした彼女の手を捉えて立たせ腰を引き寄せながら先刻より彼を惑乱させるその白いうなじを唇で辿った、そしてその先にある三日月の痣に触れた…

「ぅ…ピダムっ…」

白昼の空にさえ月はある。
他人に見えずとも…

ピダムの夜に耀きそして今、青い昼間の空にも煌めきその月は彼を魅了する…

「陛下…恋しいと想う心を‥ピダムはこうしていてさえ押さえることができません」

トンマンの眸が閃いた彼が見えぬ彼の腕の中で

「ピダム…今日のこの月はお前のものだ」


そして淡い真昼の月は彼の口づけで燦とした光を増していった…






*『淡い月』お読み頂きましてありがとうございました

平熱というのはどういうことなのか…ということは暫くは深く突き詰めずにおくことにしました(笑)
きっとそのうち分かる‥と、思います…多分。

別窓 | 愛してはいけないから | コメント:0 | ∧top | under∨
<<春水に臥す  前 | 新月の小部屋 | 春焔 初春彩景>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿


管理者だけに閲覧
 

| 新月の小部屋 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。