新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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無窮の剣…綺虎(1)

燃えるような眸に出逢う…それは



天と地が一つになる処
全てが始まり終わる処

新羅


これはその国の一人の女王と、遥か時の果てまで名のみ伝わる一人の男の物語…





SS 愛してはいけないから

『無窮の剣』…綺虎“キトラ”(1)

*******

ソラボルは夏をぬけ涼しい風が澄渡る秋の中にあった。

執務室にこもる女王は山積みの訴状を前にどこか心ここに有らずで目は同じところを何度も行き来していた。

「…陛下、少しお休みになられたほうがよろしいのでは?」

アルチョンは労るように静かにだがきっぱりと言った。
何故ならこのところ女王は昼夜問わず政務、政務であったからだ。

(ご無理をなされ過ぎだ、これでは本当に御身が…それに時折こんなふうに心がどこかへ…)

「‥アルチョン、すまないだが大丈夫だ。」

女王はアルチョンに仄かに微笑かけた。

「ユシン公がおみえになりました」

女官の口上から間もなく

変わらぬ武骨な、この頃は蓄えた髭もなかなかになった男が

「陛下、」

と言い、女王の傍らに寄り目の前の仕事を取り払った。

「アルチョンから聴きました、このところ殆どお休みになっておられぬとか…」

女王は少しアルチョンを睨み
声を出して笑った。

「ユシン公よく来てくれました…アルチョン公はお休みに下さい、お休みに下さいと私を苛めるのですよ。」

「苛めですか……」

真顔で聞くユシンに女王もこんどはアルチョンまで声を立てて笑った。

アルチョンはやはりユシンをよんでよかったと思い執務室を後にした。


以前は毎日を共に過ごした女王とユシンではあるが最近では四五日に一度あるいは七日に一度あうか会わぬかであるまして戦に出ればその限りではない。

(ピダムの不在がこれほど陛下を参らせているのか?)

ユシンは眉をくもらせこの頃はほっそりとした肢体に匂うような玲瓏とした美を耀かせ、いならぶ者を釘ずけにしているそんな女王の隠しおおせぬ沈んだ横顔を見た。

「陛下‥ピダムからはその後?」

ユシンはそうきりだした。

女王は机に両肘をつき手の甲に顔を押しあて頭をふった。

「定期連絡は?」

「二度あったが…途絶えている」

(ピダムは俺の目から見ても並みの者ではない、抜きん出ていると言っていい、そのピダムから繋ぎの報告一つないとは……)

ユシンはそっと女王の肩に手を置いた。
そのユシンの武骨な手は昔と変わらぬこの不器用な男のせえいっぱいの優しさであることを知っている。
彼女はその手に自分の手を重ねしばらくそうしていた。
トンマンだった昔ならその手にすがりたくなっただろう、ユシンもきっと抱き締めてしまっただろう…けれど今二人は重なりあった手の温もりだけを静かに感じあっていた。
それは信じあう心であったのかもしれない。

(…陛下…)

ユシンはそう心で呼びかけていた。
その寂しさがその心細さが少しでも癒えるようにと。



田舎町のさびれた、だが猥雑な娼館を兼ねた酒場にピダムはいた。
配下のものと落ち合ためだ。

商人風に身をやつしている。
隠してもその人目を引く、浅黒く精悍な顔、しなやかにしまった体つきの長身の男その目は今は伏せられていて伺うことはできない。
けれど、女たちの袖引き合うその男めあてのひそひそ声はだんだんかしましくなっていた。
と、その時一人の小汚ない少年がその男に近づき小さな紙切れを渡していた。余程駄賃をはずんでもらったのであろう少年はにまりと笑い奪われはせぬかと辺りを伺いみて急ぎ駆け去っていった。
男は紙切れにチラと目をやりその紙を卓の上の灯りとりの炎で燃やし釣りは要らぬとばかりに金を置き足早に出ていった。
女たちの残念がる声と酒を呑む男どもの声が夜のざわめきのように店を出る彼を追いかけた。

ピダムは喧騒を避け闇に紛れるように歩きながら先ほど見た短い文を思い出していた。

『明日夜半、例の件、綺虎現る』

それのみ記されていた。

ソラボルを離れもうどのくらい過ぎたろう、やっと商団に潜り込ませた配下からの知らせ。

“高句麗の綺虎”其の名のみ知る者

ピダムの眼はまだ見ぬ敵に対峙するように静まりかえった闇にギラリとあてられていた。



一方ソラボルでは

「!こ、此は陛下!…いかがなさいましたか。」

ヨムジョンは急に扉を開けて入ってきた女人に驚き椅子から立ち上がり平身低頭、頭を膝に擦り付けた。
夜目にもすらりとした美貌の女人は女王その人であった。

女王自ら司量部に来ることなど滅多にない、ましてピダムが不在時に来ることなど皆無といってよい。報告などはすべてピダムが出向き行っているからだ。

「ヨムジョン公、」

女王は司量部の執務室の椅子に腰掛け頭を下げたままの彼を呼んだ。

「単刀直入に聞く、ピダムは?その後連絡が途絶えたとのみ聞くが?ピダムは生きておろうのう」

「陛下!…司量部令はいやピダム公にかぎってそのような」

ヨムジョンの、この男には珍しいほどの心からそう望む声であった。

「ならば、しかとそうならば、なんとしてもピダムとつなぎをつけるのだ」

(ヨムジョン…今おまえと私の利害は一致している。おまえも今ピダムを失う訳にはいかぬはず…)

「そして、全て私だけに伝えるのだ、この女官に伝言せよ」

女王は側に控える一人の女官を目で示した。

「さすれば私がここに参る必ず守れ!違えればおまえの命はない!」

ヨムジョンは女王の王だけが持つ気の力に押されたように
、乾いた唾を飲み込み女王の命に従うべく平伏したまま頭を目まぐるしく回転させていた。



ピダムと数名の配下は夜半夜露に濡れた草むらに潜み敵が来るのをじっと待った。
どれくらいそうしていただろう肩も髪も冷たくなったその時

カサリ…、ササッ、カサリ…

草を踏み分ける数名の者
七人…いや九人!確かに九名…ピダムは闇の音を聞き分け目で配下の者に合図をおくった。この先にはもう目の前の小屋以外建物などない。
敵が小屋に入った、ピダムたちはまるで突然闇から現れたように素早い動きで外の見張りを倒し扉を蹴破り侵入した。

「何者か!」

「それはこちらの台詞」

「何者か!」

ピダムは剣を抜きその切っ先を斜め下に構える独特のかたで相手に対峙した。

敵は主格と見えるやや細身の者を守るように四人が回りを囲んでいる。

あとはこれも数名の商団の兵と大行主にもう一名こちらに寝返った行主。
ピダムの配下たちは瞬く間に商団の兵たちを倒していく。ピダムは敵の主格との間合いを積める、守る者どもはなかなかの使い手であると見てとった。
ピダムたちは既に商団の主な行主たちをあとの配下を使い皆殺しにしていた。後は敵に渡るまえに機密を奪い返しそれを知るここにいる大行主と裏切り者一人始末するそして敵を突き止め殲滅する。
ピダムは超人的な跳躍で一気に跳び水を蹴る鳥のごとく敵も見方もその肩を掠め飛び越え鋭く剣を弧を描くようにその主格めがけて繰り出した…

「おまえが、綺虎か!」

ピダムの剣は確実に敵の手応えがあったのにかろうじでそれをさけた?が相手の顔を隠す衾が切れてその面が現れた!

仄暗い灯りにゆらりと照らしだされたは…

「綺虎か?おまえが?」

ピダムは敵の主格を射抜くように見つめたそして

「女…か……」



張り詰めた空気と血の匂いが辺りに充ちてピダムはチリチリとした何かが首筋を駆けたのを感じていた。

























続きます ̄(=∵=) ̄
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この記事のコメント

なんか、ブログが混雑していて、3回目の投稿です(笑)

読んでいて、ドキドキわくわくしています。
ピダムと離れてトンマンの不安も痛いほど伝わってくるし、
ピダムの剣の構え・・・私は大好きなんですよね~
読んでて頭の中に、剣を構えたピダムが次々に現れて、我慢出来ずにまた、動画見てました(笑)
さらに、首領が女性なんて・・・・次回が楽しみすぎです。
楽しみにお待ちしておりますね。
ではでは。
2011-10-02 Sun 23:08 | URL | ミンミン #- [内容変更]
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