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新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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秋月夜

冷たく燃える月が射す…それは



天と地が一つになる処
全てが始まり終わる処

新羅


これはその国の一人の女王と、遥か時の果てまで名のみ伝わる一人の男の物語…










SS 愛してはいけないから

『秋月夜』

*******

今宵、ユシンは身重であったヨンモが急に産気づいたとの知らせで急に自邸に帰った。
入れ違いに陛下から酒宴の招きが届いた…。
ウォルヤは曾てのユシンと女王との関係をわずかながらも知っていて妙な間のわるさを感じたが別の言い訳をするわけもいかず断りを伝えたが女王から思いがけずそれならば『下将軍が参れ』と。
女王から祝勝会以外の私的な宴席への招待などはいくら代理といえどウォルヤにとっては目を白黒させるというよりはとてつもなく居心地の悪い場所のように思われて一瞬本気でユシンを呼び戻そうかと思ったほどであった。



その夜ウォルヤは武骨ないでたちでなく伽耶紫に金糸と翡翠色の蔦の刺繍をほどこした衣はおさえた洒落がきいた日頃の彼らしからぬものであった。
楼台へ、とのことづてで

(楼台?)

と思いつつ来てみると
そこにはすでに女王がいて僅かに振り向き

「下将軍、参ったか」

女王は黄地に秋草と波を織り出した風雅な衣にやわらかい紅色の帯、金に夜光貝をあしらった耳飾りが美しく頬の脇で揺れていた。
ウォルヤは言葉を失い無礼なほど女王を見つめた。

「?どうした、下将軍…」

我に返り

「いえ…ただあまりに月の光が美しいゆえ…」

女王はクスッと笑い

「ああ、確かに今宵は満月ゆえな」

「掛けろ、…こうして将軍と月を憂いなく眺められるのもそなたたちの働きの賜物かもしれぬな。」

「陛下」

「さぁ下将軍、杯をとれ」

傍らに控えるアルチョンは女王の駆引きの巧さに舌を巻く。
昼間カチェを身に纏う彼女と夜の優美な姿の落差は大きい。
言葉の駆引きではない……
勿論それはあくまで精神的なものではあるが、相手の警戒心を解き知らず知らず女王の意向に従わせるのにこの落差はかなり有効なのである。

「ウォルヤ…」

そう彼の名を呼び、ひたと目をあてた、それは冴えざえとした月光にもにていた。

(ウォルヤ…そなたの大義はやはり伽耶か?)

「はい陛下」

「今宵はそなたを招いたのだ、ユシンではない。」

(!!)

「ユシンがおらずともそなたは、我が臣であろう?」

「はっ、陛下」

ウォルヤは方膝折って頭をたれる。

(陛下はお見通しか!?)

「アルチョン公、下将軍はやはり頼むに足る新羅の将軍よ」

そう言って艶然と微笑んだ。

(ウォルヤ…伽耶を夢みるな、新羅を見るのだ、そうしなければ……)



「陛下、司量部令が参りました」

その取り次ぎも終わらぬうちに司量部令ピダムはムッとした顔を隠さず

「こちらでしたか」

さっと女王のそばにより
睨め付けたようにウォルヤを見た。

「ピダム!」

叱るように女王が言った。

ウォルヤは立ち上がり軽く面を伏せた。

「下将軍、今宵は今少し語らいたかったが…月に雲…」

ウォルヤは女王にそして司量部令に頭を下げそのばを辞した。

(ウォルヤ、……奴はユシンと同じ…そう伽耶ではないか!)

(また、ユシンか!)

「陛下、何故ウォルヤをよばれましたか?」

「…別に、戦歴著しい将軍を招いてみた、それだけだ。」

「……それだけでございますか?」

「ああ、それ以外何かあるか?」

女王は見上げた、ピダムの眼の中の熾火のような焔に気づき

「アルチョンしばらく外せ」

と、女王は命じた。
アルチョンの気配が消えるや否や

「陛下…」

そう言ってピダムは女王の顎を上向かせ立ったまま腰掛けた女王にかぶさるように口付けた。

「ン…ピダム…」

(ウォルヤは必要なのだ)

(陛下…ウォルヤは伽耶ではないですか‥伽耶、伽耶そうだ、奴は伽耶だユシンと同じ!!)

ピダムの心に不穏な閃きが稲妻のように走った。



秋月の光は二人を冴えざえと射しその影を闇のように深くしていった。







冷たく燃える月が射す…それは



天と地が一つになる処
全てが始まり終わる処

新羅


これはその国の一人の女王と、遥か時の果てまで名のみ伝わる一人の男の物語…













うさこ 仲秋に寄せて(9月12日、100打御礼)
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この記事のコメント

おはようございます。
仲秋の名月を眺めつつ、月夜の名を冠する花美男の胸中はざわめき…。

女王の前で、跪づく花美男を睨み付けるもう一人の花美男…絵になるなあ

すっかり、うさこさまワールドにハマってしまいました。

ドラマ本編では、ついにウォルヤ×ピダムの美麗絡みがニアミスのまま終わっちゃって、密かにがっかりしてたもので…。

ピダムって、ユシンだけでなく加耶に対しても冷淡ですよね…坊主憎けりゃ袈裟まで…なのかどうか…ウォルヤとは同じテーブル囲んでいても接点が無い感じだし、お互いよそよそしい雰囲気で。

ピダムにとって、もしかして「加耶」って、禍々しいイメージなのかも?子供時代の流民皆殺し事件の「流民」って、もしかしたら加耶人だったのかも…?とか勘繰っちゃいます。

三韓一統の必要条件としての加耶優遇政策だったのに、なんの躊躇いも見せずにそれを覆す政策案を提出するあたり…ユシンが憎いだけじゃないんじゃないの?とツッコミたくなりますね…。うさこさまのピダムも加耶自体が嫌いみたいで、あ、やっぱりそうなんだ、と妙に納得できたりしてます。

素敵な作品が次々とアップされてて嬉しいです
これからも楽しみにしています。


2011-09-14 Wed 08:26 | URL | 天人唐草 #d6xnPQx6 [内容変更]
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