新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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天の亟 地の亟(中編)

◯新月の小部屋一周年記念SS

SS 愛してはいけないから

『天の亟 地の亟』(中編)

*******

夏の夜は熱をもった空気が辺りを押し包む。

ハソルを上座に老練な貴族シウルは声を潜め言う。

「ハソル様…司量部令め甲利貸を税で締め上げ市場封鎖に係わった者を次々に捕らえております、このままでは我々に辿り着くのも時間の問題にございます。」

「…………」

「捕らえられた甲利貸共、些か惜しい気もいたしますが…始末なさいますか?」

「………殺れ、但し次の手も用意せねばならぬ…」

「と、申しますと」

「そなたがしくじると言っているのではない、ただ我は奴には決して敗北などせぬ…」

「ならばいかがいたせばよろしいでしょうか」

「………司量部量の屋敷を襲え、だが‥同時にやつの大事なものを押さえる」

(ピダムお前…陛下と己の命、さあどうする?)

「まさか!」

「月城で押さえるは本意ではない‥いや待て、陛下はそなたに任せよう私は奴を仕留める」

(ピダム、己の野望の為か、それとも愛だとでも本気で言うきか?…だが何れにせよお前ごときがが聖骨の女王を求めるなどそれこそ許しがたい反逆行為ではないか)

「手練がおりましょうか?」

「おる…ウォルグァンだもっとも今はホンウォルと名乗りおるがな」

「ホンウォル‥ウォルグァンとは…生きておりましたか、ムンノ公そしてあのチルスクにも見こまれておりながら花郎従を去ったあのウォルグァンあの者ならば、確かに。」



風が‥熟れて、甘く高貴な果物の腐臭を夜の闇の中にどこからかただよわせていた。




その夕、ピダムは久しぶりに自邸へ戻っていた。
簡素な食事をとり白湯を飲む、彼は恐らく息を潜める敵動きを思い眠れずにいるであろう女王を思った。
彼の寝ずの疲労を思い退出させた女王の心を思い…ピダムは上質だがほとんど装飾のない室の寝台に身を横たえ眸をとじた。


「ピダム御苦労でした、お前の働きで市場は解放され甲利貸も痛い目をみたであろう…あとは貴族とその背後にいる者をどうするかだが、貴族達もそう簡単には動けまい…なにしろ動けば金より大事な命も無くしかねないからな。」

「動かぬでしょうか…?」

「動けまい…」

退出前に女王と交わした話を思いだしながらピダムは閉じた眸の裏にある公子の顔を思い浮かべていた。

(ヨンス公の息子チュンチュの異母兄にあたる白皙 の公子、今回の黒幕はそのハソルではあるまいか…甲利貸から貴族への金の流れを辿るとどうしてもそこへ行き着く。
宮殿でミセンも一目置くほどの才知を持ちながら控えめで常にチュンチュを立てて陛下からもヨンチュン公からも信頼されている…が、あの眼だ俺を視るあの眼が…奴なら静かに秘かに玉座を狙うはず。
そして陛下を手に入れんと欲するあの眼…

だが、陛下は奴を信頼しておられるあのチュンチュのクソガキですらハソルをさほどとも思っておらぬようだ…だが奴は牙を隠す虎…)

(ヨムジョン、俺の命を違えるな!‥)


ピダムは眸を閉じた。
どのくらいたったか…
その時、音は無い。
だがピダムは何者かの気配を感じた。
それは到底並みの者では気づくことも感じることもできぬ空気の音とでも言うような…
彼は寝台に身を横たえたまま剣をとる間合いを決めるように息を止めた。



「陛下…ピダム公の屋敷より使いのものが参りました。」

アルチョンが言う。

「ピダムから?」

「してその者は?」

「待たせてございますが…」

「会おう」

「然し…」

トンマンは身支度を整えピダムの使者と会った。

ピダムからの言伝ては“神国の敵は明らか今夜それを葬り陛下の元へ叶いしだい参じます”と。

トンマンは言伝てを聞き使者をじっと見た。

「参じるにはおよばぬ…連れていけピダムとその神国の敵とやらの処へ」

(お前は何者だ…いったい誰の使いだと言うのだ!?……ピダムを捕らえたとでも言うのか!誰をもって敵と言うのだ!)

「お一人で参られませ、陛下」

「…………」



闇と同化するように音もなく侵入者は室に入った。


召人の叫び声すらなかった。
恐らく声すらたてるまもなく殺されたであろう…

(来る!)

ピダムは寝台から転がるように降り次の瞬間灯りとりの燃える炎の皿を敵の気配めがけて蹴り上げた。

ピダムは剣を掴む為一気に跳躍した。
そうはさせじと敵も躍りかかるようにピダムめがけてその刃を降り下ろした。




青白い焔の殺気と紅蓮の殺気は絡みあい室を突き抜け、その鋭く打ち合う剣をの音は夜空に耀く遥かな星を震わせていた…







続きます…

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