新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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草春賦

SS 愛だと知らず


『草春賦 』

*******

草は香り桃の花は今は盛りと咲き春の声が聞こえるような日

「ピダム今日は上巳の節句だな」

「はい、民は薬草を摘みそれで躰を撫で厄払いをいたします。またそれとは別に摘んだ草で草餅を作って食べまする。」

「ほぅ…宮殿では薬湯に入り草や雪や桃の餅菓子を食べるだけだ」

「草摘みかぁ…ピダムぅ行ってみたい」

「然し急に宮殿の外へなど、乳母殿に叱られます」

「母さんかぁー…そうだピダム、チュクパンを呼んでこい」

「チュクパンをですか?」

「兄貴は薬草に詳しいから母さんに公主様の厄払いの薬草でも教えると言わせればいい」

「…………」

彼は知恵の回る公主の顔を感心したように見つめていた。

「どうした、ピダムお前は私と出掛けるのは嫌なのか?」

ピダムはトンマンの可愛いい我儘と彼女と一緒に出掛けられる嬉しさに顔がほころぶのを押さえながら

「仕方ありません…それではくれぐれもあまり目立たぬ身なりで決してピダムの側を離れませんよう」

そう言った。

トンマンはこのときばかりは少しだけ神妙な顔をした。



トンマンを馬に乗せてピダムは手綱を引きながら野の道すがら


「ピダム、あれは?」

「ああ、先ほどお話いたしました草摘みにございます。」

「あれが…ピダム降りたい」

「しかし」

トンマンはピダムが必ず受けとめると知っているというようにふわりと馬から躰をはなしピダムに手を伸ばした。

ピダムはトンマンを抱きとめ地に降ろした。
そしてそのままそっと抱き締めるた。腕での中のトンマンはくりっと愛らしい眸とぷくんとやわらかな唇でピダムを下から見上げピダムの胸に甘い苦しみを与えた。

この辺りでは見かけぬ美しい貴族の娘に共のすらりとした背の高い野性的なまだ若い男を草摘みをする若い娘たちが遠巻きに見ていた。

「これはなんという草だ」

「蓬草にございます。餅にすれば旨いですまた蓬草は茶にも薬湯にも灸にもなり、血止めにもなります。」

「なんでもしっているなお前は役に立つ」


ピダムは鼻の頭をポリッと掻きながら真面目にそんなことを言うトンマンを愛らしいと思った。

トンマンは蓬草を摘んではピダムに持たせては民の暮らしぶりを眺めていた…

「ピダム草をいっぱい摘んだから餅が食べたい」

「え!?餅ですか…しかし蒸したりこねたり時間がかかります」

「でも、食べたい。」

「ピダムぅ」

この甘ったれた声でピダムを呼ぶ時は必ず次にとでもない我儘が飛び出すのだが

「はい」

つい可愛いくて返事をしてしまう。

(ユシンだとこうはいかないなーアルチョンなんてますますダメだ母親の胎内に融通という言葉を忘れてきたような者共だ)

トンマンは心でそう思った。

「……この先にいろいろ商う店が建ち並んでございますが」

「餅もあるのか?」

「あると存じますが…」

「ならば行こう」

ピダムが止める間もなくトンマンは歩きだした。



煮物や揚げ物な匂いにの中商いの売り買いの喧騒があちこちをにぎわしている。

「ピダム、面白いな」

少し興奮した様子の無防備なトンマンを愛らしいく思い

「迷子になられては困ります」

そう言ってピダムはそっとトンマンの手をとった。
珍しげに辺りを見るトンマンは無意識にピダムの手をキュット握り返した。

「餅屋がございました」

「どこ?」

「あそこに…」

トンマンはピダムの手を引っ張るようにして小走りになった。

ピダムはトンマンに引っ張っられたまま餅屋の前にいた。

「その草餅を二つくれ」

金を払い餅をトンマンに渡すとトンマンはパクリと食べ口に白い餅粉をつけて

「美味しい」

と満面の笑みをみせた。
その無邪気な様子に愛しくてみとれていたピダムの懐からさっと子供が金袋を掠め取った。

「このっ」

ピダムはトンマンの手をとったままその小汚い小僧を追いかけた。

そしてすばしっこい小僧を幾つか角を曲がった先の袋小路に追い詰めた。

そこには数人の人相の悪い男達がたむろしていた。

「おい、ここに小汚い小僧が来たろう」

「確かに来たが?」

「その小僧に用がある」

「そいつぁ俺の息子でさぁ、いったい何のご用で?」

「俺の懐から金を盗みやがった」

「…これのことで?」

男はぶらぶら金袋を目の前に持上げ揺すった。

「返せ!」

ピダムが言うよりはやくトンマンが言った。
男達はトンマンの美貌に目をみはりニヤニヤ笑った。

「そのお姫様と交換ならこの金を返してやってもいい。」

ピダムはトンマンを荷車の陰に隠すように座らせた。
そして血の気の多い一人が襲いかかってきたピダムは長い足で相手のみぞおちに蹴りを入れそれを合図のように次々に男達が襲いかかってくる、ピダムの拳は相手に当たる瞬間炸裂する。あっという間にピダムの足技と拳は男達を倒していった。
最後に残った頭らしい男が金袋をピダムにほうりなげ媚びるように笑った。

「お前のガキでもないくせに盗みなどさせるな!もっとも本当にお前のガキならなお悪いがな…」

ピダムは許さず拳を繰り出そうとしたが

「もういい…ピダムやめろ!」

トンマンのその声を聞きピダムはトンマンの肩を抱き寄せた。

ピダムは殺気の残る眸で男をいちべつし立ち去ろうとした…が、

「うぉぉー」

と、男がピダムの背に襲いかかってきた。
ピダムは片手でトンマンの眸を覆い隠しもう一方の腕で剣を抜き一撃で男を貫くように倒した。

ピダムのあざやかな立ち回りに人垣ができはじめていた。
二人はそれをぬうようにかわしてやっと人混みを抜けた。

(ピダム…怖かった…)

トンマンは心で呟いた。

ピダムの剣を見たのは初めてではないけれど…



陽が傾きかけた野辺にのんびり草を馬が食んでいる。

「餅、落としてしまった」

ぽつりとトンマンが言った。

「申し訳ありません」

「ピダム血が出ている」

「なんでもありませんこのくらい…」

トンマンは摘んでいた蓬草揉んで傷口に貼った。

「帰ろうピダム…母さんが心配する」

「はい」

「たくさん蓬草も摘んだ、帰ったら草餅を作ってもらおう」

そう言って微笑むトンマンを
ピダムはそっと抱き締める。


大きな春の夕陽はそんな二人を静かに包んでいた…





*こんばんは、お読み頂きましてありがとうございます。

じつはこのSS 一度全部消去されてしまい記憶をたどり再生させたものです。
夕方upしようとして何故か消去してしまいました。
いったんもういいや!と思いましたが思い直して頑張って再生してみました。

桃の節句(上巳の節句)にちなんで春草の香りを書いたものなので…やっぱりupしちゃいました ̄(=∵=) ̄










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この記事のコメント


うさこ様へ


こんばんは~

わ~~春の香りが漂ってますね♪

桃の紅色と蓬の薄い緑色が画面(お話)いっぱいに広がって、春の野に自分が立っているような気持ちになりました。


ピダムと草摘みデート。
とってもロマンティックなのに…
トンマンの「草餅が食べたい」と言う公主らしからぬ台詞から急展開して、最後はピダムの剣技まで見られて、サービスてんこ盛りなお話ですね!


ピダムが何時もより更にカッコイイ感じに思えたのは私だけでしょうか?


うさこ様の公主時代のトンピ、微笑ましくて愛らしくて、心の中に閉じ込めて誰にも見せたくなくなります(笑)
自分がトンマンになってピダムを誰にも見せたくない(ずっと側にいて欲しい)気分になるからですね♪きっと。

素敵なお話ありがとうございました。

2012-03-04 Sun 00:21 | URL | テヤン #vbu/5PMA [内容変更]
テヤン様へ

こんばんは~

>わ~~春の香りが漂ってますね♪

剣をと餅を持ったお雛様?な二人です(笑)

>ピダムと草摘みデート。

古事記とかの世界のように王族もエネルギッシュでおおらかな感じのイメージです、特に公主時代は。

>ピダムが何時もより更にカッコイイ感じに思えたのは私だけでしょうか?

ありがとうございます。
たぶん、剣はピダムに何か筆に尽くせぬ力を与えるのかもしれません。

>うさこ様の公主時代のトンピ、微笑ましくて愛らしくて、心の中に閉じ込めて誰にも見せた くなくなります(笑) 自分がトンマンになってピダムを誰にも見せたくない(ずっと側にいて欲しい)気分になるか らですね♪きっと。

あははは…
見せたいのか見せたくないなか!?
トンマンは気づきもしない?のかな…。

>素敵なお話ありがとうございました。

とんでもない ̄(=∵=) ̄こそありがとうございます。

テヤン様のまたのおこしをお待ち申し上げます(ぺこりん)
2012-03-04 Sun 22:12 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #FxyIyzo2 [内容変更]
うさこ様こんばんは(*^_^*)

トンマンがピダムゥって言った後に、にんまりと笑っている顔が(笑)頭の中に出てきて(笑)
黒い角がニョきっと生えているトンマンなんですが(笑)

それに対して、ピダムは鼻の下が思いきり伸びきっている状態で(笑)

面白かったです(笑)



2012-03-08 Thu 22:51 | URL | ミン #- [内容変更]
ミン様へ

こんばんは

>小悪魔トンマン(笑)

くすくす…たしかに小悪魔トンマンかも♪

>トンマンがピダムゥって言った後に、にんまりと笑っている顔が(笑)

トンマンのあのどや顔?をおもいっきり可愛くした顔です(笑)

>それに対して、ピダムは鼻の下が思いきり伸びきっている状態で(笑)

彼はトンマンが好きなんですよねー、結局(笑)

>面白かったです(笑)

ありがとうございます。
このところいろいろ沈む気持ちがあったのでミン様からのコメントに ̄(=∵=) ̄は心を温めて頂きました。(ぺこりん)

少女でもないのに、草餅を食べて白い餅粉をつけたまま「おいしぃ♪」と笑う(←え~)ような ̄(=∵=) ̄より






2012-03-09 Fri 20:29 | URL | うさこ ̄(=∵=) ̄ #HuG4J.mM [内容変更]
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