新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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臘月 の密使

SS 愛してはいけなから

『臘月 の密使』


*****


降り積もる…

衣についた雪を誰もが払い払い空を見上げていた。

そして、その朝まだ空は暗く雪は後から後から降りまるで夜のようであた。

その頃司量部でも雪避けをする者達のギシギシと雪を踏む音がピダムの執務室まで聞こえていた。

「随分、降ったようだがどのくらい積もった?」

雪を頭に乗せたヨムジョンを可笑しそうに見ながらピダムが問う。

鼻の頭を赤くしたヨムジョンがピダムから雫が手拭いを渡されあちこち噴きながら言う。

「雪の奴後から後から降って止めようもありません、まあざっと二尺ほどでしょうか、だがこの分では月城だって埋もれるほどの勢いですよ」

「陛下の居城は雪ごときで埋もれはしないが、そう降っていては当分各地からの情報は遅れるな…だがこの機に乗じて近隣の国が何か画策せぬとも限らん情報が途絶えれば耳を塞がれるのと同じこと。」

「ソラボルに入る者に注意を怠らぬよう申しつけます」

ヨムジョンは苦虫を噛んだような顔を隠しながらそういったら。
ピダムはヨムジョンが出ていってから急ぎ書簡を閉じたそして暫く後その姿は仁康殿の女王の部屋の前にあった。
扉の向こうからなにやら大きな声がする。

「何方がおいでだ、随分賑やかだが?」

ピダムに問われた女官は微かに頬を染めて

「ヨンチュン公とチュンチュ公にございます…あの拳遊びをしてお出でです」

もう一人の女官が止めようと袖を引く。

「拳遊びとは酒令の拳遊びのことか!?」

「は、はい左様にございます」

(宮殿で拳遊びとは!)

眉を吊り上げたままピダムは入室した。
ピダムの怒ったような表情に女王はほんの少しバツが悪そうな顔をしヨンチュンは言い訳を言おうとして口ごもりチュンチュは悪びれもせずニヤニヤしてピダムを見た。

「これはこれはピダム公この雪の中をわざわざそなたがこずとも用なら使いを寄越せばよいものを、それとも急用でも?」

「………」

ピダムが女王にただ会いに来たと知っていてのチュンチュの皮肉。
ヨンチュンは早くも雲行きが怪しくなったのをみてとり

「雪、雪ばかりで退屈してはおられぬかと我らで陛下の気散じにまいったというわけだ」

なんとか言い訳をひねりだして言ってみたもののピダムの一睨みで最後の方は消えっかったような呟きになっていた。

「ヨンチュン公とチュンチュ公の気散じは拳遊びですか、なるほど真骨の気散じが拳遊とはしかもそれを陛下をお相手に…」

成行をみていた女王もこれは少々不味いと思ったのか

「いやピダム、元は私が話のついでに拳遊びを見せてくれと言ったからだから…」

「…分かりました、陛下がそう申されるならばピダムがお教えいたします、貴族の皆様方よりそういったことならこのピダムの方が御指南は適任かと存じます。」

ヨンチュンは黙りチュンチュはヤレヤレという体でトンマン一人が叱られたような顔でまいったなーとピダムを見た。
ヨンチュンはこうなっては長居は無用とばかりにチュンチュの袖を引いてそそくさと立ち上がり女王の私室を後にした。
二人が退出したその後…

「酒令の拳遊びというのは酒令の中でもその最下層的な遊びでございます。指の形で勝敗が決まります、ですので他の酒令と違い道具を必要といたしませんゆえに労夫仲間もしくは労夫かそれ以下の男と娼の間で金と体を賭けて行う遊びです。」

「………」

「しかしこれは確率と心理作戦を併せもっており猜拳などは相手の掛け声などにも惑わされます…確率でいうと…」

「すまなかった」

「簡単に陛下は謝られてはなりません」

「…知らなかったんだそんな体を賭けて遊ぶとは…」

「酒令とは上等であれ下等であれ大体そういったものです酒を飲まされるだけではすみません」

「…うん…でも別にヨンチュン公やチュンチュとその…賭けていた分けではないから」

「当たり前です!」

「怒ったか?」

「呆れただけです」

「…そう熱くなるな、怒るばかりするから雪も溶けたな…」

トンマンはそう言ってピダムの髪の雫を指先で払った。
ピダムは自分の髪に触れる指先を見つめながら

「熱いなどとは言われたことはありません」

「…熱いんだ」

(…熱いんだ、お前は)

「陛下…」

ピダムの手が女王の手を捉えようとした時

「申しあげます、ヨムジョン公がお越しにございます」

女王はピダムを見た。
ピダムはヨムジョンの間の悪さに明らかにムッとし女王に頭を下げ扉口へと寄った。
此方からはピダムの影になってよくは見えぬがヨムジョンがなにやら懐から書状らしきものを取りだしたのが見える。
ピダムはそれを一瞥すると扉を閉めた。
先程とはうってかわった緊張した表情でピダムがトンマンに寄り

「此を御覧ください」

それは倭の豪族から百済の王に宛てた密書であった。
勿論ただの豪族ではないそれは王を操っている蘇我の密書であった。
文面は要約するとこうである。

先に山背大皇子を退け現大王をお立てした我々は百済との友好を保って来たが現大王の皇子らは蘇我を廃そうとの動きありどうやらその後には新羅があると…

「これは…どこで?」

「この吹雪の中どうやってまいったものやら…秘かに此を運ぶつもりだったのでしょうが…」

「しかしこの時季に…よほど知らせたかったとみえるな」

「御意にございます」

「して密使は?」

「捕らえました」

「……」

「いかがなさいますか‥始末いたしますか?」

ピダムの問いに女王は軽く頷いた。

「そなたの手の者で密使と姿顔の似た者を探し此をそのまま百済へ届けさせろ」

「大王の皇子らをお助けになるのでしょうか?」

「いや…秘かに唐へ伝わるように致せ唐に百済を見限らせる布石だ…春、百済にはチュンチュにウイジャ王を訪ねさせよう、まだ倭国の皇子を助ける次期ではない…がそのみどころのある皇子の様子は知りたいものだな」

「百済から帰途につく密使は波荒く倭国には帰還できませんね」

「そうだな…返書が海に沈んだか何処かの女王が手にしたか誰が知ろう」

「はい」

「ピダム猜拳と同じだな“倭国の皇子を助けぬ”と言ったとして助けぬとはかぎらぬ。これを受けた百済が三すくみだと思っていたとして…はたしてそうか?高句麗もこれを嗅ぎ付けるだろう」

「はい」

「倭が仕掛けてきたこの密使次は誰がどうしかけるか?」

トンマンはピダムを試すように笑って斜め下から光る眸で見つめた。

「唐から仕掛けさせましょう倭国の次代の派の争いに一役かいたいでしょうからね…無論その絵図をかいたのが誰であるかをこの拳遊の相手が知る必要はありませんから」

女王は我が意を得たりとばかりに笑った。


今はまだ臘月、全ては白い雪の下。


「…ピダム」

「はい」

「………」

「宿直をお申しつけくださいますか?」


「…否といったら?」


ピダムはもう何も言わず女王を静かに抱き寄せた。

(否と声が発したとしても…)





臘月の雪はまだ降りやまぬ……








*『臘月の密使』お読み頂きましてありがとうございました。


󾬣ここでの二尺は60㎝くらいのつもりで書きました。

*猜拳は遊拳の一つ掛け声をあげながら自分の手を出す声と手は一致しなくてよい声は一種の心理作戦でもある。詳しくは調べてね(笑)←ごめん
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秋の昔日

リクエストSS第六弾 五月一日にまぐかっぷ様より頂いておりましたリクエストです。
ありがとうございました。

「ピダムとユシンとアルチョンの3人絡 みのお話」
この3人でほんわかとした笑えるような、もしくは明るい お話が読みたいです。

 ̄(=∵=) ̄なかなかこのほのぼのシチュは思い付かないほうで多分うさSS には皆無かもしれません。
でもチャレンジャーうさこやってみました。
……うーん………。

ポチッと方式になってます。
ぺこりん󾀼
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