新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨

従順なる背信…②

SS 愛してはいけないから

『従順なる背信』…②


*******


ピダムは宵闇の中不寝番の命を受け女王の元へ向かうため回廊を苛立つような顔で歩いていた。




(陛下、貴女は人事案を出させ私の勢力を把握したおつもりですか?
何処まで私の力が及んでいるかと…
復耶会 の存在すら我が勢力を掌握するために利用なさるとは…)

女王の夜の不寝番はこのところ彼女の体調不良を理由にまどおりになっていた。

トンマンとピダム女王と司量部令互いの思惑は牽制しあいながらも求めあう、だがその状勢は複雑にいりくみ時は二人の心を試すように嘲笑うように流れ始めている。



ピダムは怒り悔しさ哀しそして憎しみそれがヨムジョンが飛び込むようにして執務室へ来ていった

「大変です!…ユシン公は流刑地に居ませんでした」

から始まった報告に一気に吹き出した。

(ユシンがにげた…!?いや逃げはしまい始めから流刑地に着いてはいない!?……何故‥誰だ…それが出来るとするなら…それは)

ヨムジョンの首が痺れるほど締め上げた手を放したピダムの脳裏を黒い怒りをはらんだ疑惑が支配していった。

そしてヨムジョンは首元を擦りながら双眼はそんな疑いと怒りに支配されていくピダムを窺い見つめ微かに笑っていた。



“心と躰がいっそばらばらであればいい…”


今宵不寝番の命を受け様々な思いに苛立つピダムもそして命じた女王の思いも互いの心は期せずして皮肉に重なっていた。


夜と一つになる眸、漆黒の深い闇、艶のある耀きがそこにある…

「ピダム」

手を伸ばしそう呼べば彼女の手を掴まえ握り返す手がある。

濃密なる情交の名残が空気の中に漂う…
灯りの無い部屋は沈むように暗く水底のように静まりかえり握られた手の温もりだけが頼りその暖かだけが全てのように思える…

ピダムは伸ばされた手を握りながら闇のなか浮かび上がるような白い滑らかな肌に眸をあて我知らず唇を噛んだ。

(ユシンに何をお命じになったのですか?奴はあそこに居なかった…陛下!あなたしかいない)

手を握り安心したように瞼を閉じる女王の横顔…

(陛下!ピダムを見て下さい私を見てユシンの流刑は文字どうり流刑なのだとおっしゃって下さい…ヨムジョンの奴の愚かしさだと)

トンマンは閉じた瞼の裏に苦しく、だが鋭い眸を隠し

(ピダム私が守るべきものはユシンではない神国ただそれのみ…其ゆえ神国に尽くすユシンを信じる、そしてユシンはお前の勢力を牽制するために必要だから‥王たる私はお前を牽制しなくてはならない…)


(…お前を想えば想うほど私はお前を牽制しなくてはならぬ)


そう思た。



新羅は大きく揺れていた。
新羅対百済、王勢対貴族勢力、兵部対司量部そして…女王対ピダム





ユシンとウォルヤそれにソルチ…ポジョンが見たものはたちまちソラボルへ伝令鳩により伝わり情報はより早くピダムの知るところとなる。

(やはり陛下…貴方はユシンをそれほど大切に思われるのか!
だがユシンはどうだ、ウォルヤといたユシンはどうなのだ!カヤを捨てない奴‥何も捨てず何も失わず陛下の心までその手出来ると思うのか!)


ピダムはヨムジョンから渡された伝令鳩の結び文を拳で握り蝋燭の炎の中へ放した。




ユシンがことをピダムの知るところとなったことチュンチュからの報告で知ったトンマンは彼を呼んだ。

そうではない!私を信じられぬのか?

(ユシンを信じろとは言わぬだがピダムお前は私を信じているはず)

「…そのお答えは後日いたします」

ピダムの応えは不確かで“信じます”とのいつもの彼らしいトンマンへの想いを真っ直ぐ表すような明言を避けていた。


女王はこの時小さいと思い込んでいた不信という亀裂が思わぬほど深い溝となって二人の間にあるのを感じた、だがこの時これ以上ピダムの思惑を推し量る術を彼女はもたなかった。


女王の元を辞したピダムは降りきれぬ想いに足を止め堪えきれず振り返った。


『私を信じられぬのか?』


陛下は何を、貴女は何を信じておいでなのですか?

その貴女が信じ離さぬ者が貴女を裏切っているとも知らず。

その事をその者が意図しようがそうでなかろうが裏切りはあるのです!

だが今はまだ貴女に知らせはしない。


(最も効果的にこの札は使う、背信は誰の心にあるのか貴女に見せつけるために…)



不意に冷たい風がピダムの身にそして心を刺すように一瞬吹きつけピダムは眉を上げその風が貫いた胸に手を当てた。



その誰も見ぬ誰も知らぬ彼自身さえ気づか表情は酷く、寂しげであった…









*『従順なる背信…②』
お読み頂きましてありがとうございました。


このあたりの二人の心の葛藤がドラマでうさこ的にはもう少しあってもよかったのかなーと思いも少しだけ妄想してみました。
まだこの妄想は続きます(笑)




PS. 今回“心と躰がいっそばらばらであればいい…”と思いはすれそうはいかない心も躰も互いを求めずにいられない二人です。


スポンサーサイト
別窓 | 愛してはいけないから | コメント:4 | ∧top | under∨
| 新月の小部屋 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。