新月の小部屋

気ままに善徳女王創作二次小説を中心に他にも赤と黒の創作二次小説を綴っております。

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夜半の月 後編

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夜半の月 前編

SS 愛してはいけないから

『夜半の月 前編』

*******


「ピダム…」


トンマンは寝台に身を横たえうつ伏せていた。

数日前、便殿会議でピダムを叱咤してしまった。
叱責で済ませればよかったのかもしれない…しかし…
やはり同じことだろう……。

ピダムはあの時一切、口ごたえしなかった、女王の私に叱咤されただじっと私見ていた。



百済のフギョンが数名宮殿に忍び込み危うく女王の寝所近くで捕らえられるという事件があった。
侍衛部と司量部が未然に防ぎ逃げた者を司量部が捕らえ取り調べ中であった。

その捕虜を司量部令がことの詳細も解らぬまま死なせた、いやただ死なせたのではないかなり酷い死なせ方であった。
女王の命を狙ったのだから当然ともいえようが王命を待たずにのことである。
侍衛部を抜いて捕らえたまでは司量部の手柄としても王命を待たずに罰を下すのは僭越な行いと言わざるおえない。
いくらピダムが寵臣といえど見過ごすわけにはいかない。
女王のピダムへの日頃の信頼が厚いだけにあの日の便殿会議の女王の怒りは居並ぶ諸侯をも恐れさせた。

あれほどの寵臣が一度の失態で謹慎とは…。
降格すらありえる勢いをアルチョンがとりなした。
出し抜かれた侍衛部令のとりなしは女王の心に届きピダムは謹慎のみで済んだのだ、と誰もが思った。




トンマンはあの夜をフギョンの忍びこんだ夜を思った。

あの夜はアルチョンは居なかった…

ピダムも来るはずであったのになかなか姿を見せない。
遅くまで待ってはみたがそして夜半変事はおこった。
何者かが女王の寝所へ忍び込んだのだ。

「ピダム?」

影が動いた。
瞬間トンマンはピダムではない者の存在を感じ素早く寝台を離れた。
ここへたどり着いたということは女官が手引きしたか!?扉の外の警護の者はどうなったトンマンは扉までの距離を目で計りながら頭をめぐらせ影に潜み次の瞬間にも襲いかかってくる敵と対峙していた。
闇が意思をもって広がるっ!と一瞬はやくトンマンが扉へ走った。
敵は光る刄を向け女王の命を狙う。

「ピダムー!」

トンマンはあらんかぎりの声で叫んだ。
まるでその声に呼応するかのように扉が開き

「陛下!」

声とともにピダムの剣が閃いた。
次の瞬間ドサッ…と音がして咽をきられた刺客が倒れた。
ピダムはトンマンのまだ解けぬ張りつめたままの躰をぐっと庇い抱き締めた。

「申し訳ございません陛下」

ピダムがあと一瞬でも遅れていたら…トンマンは張りつめていた息を吐き気丈に言った。

「ピダム逃すな!」

ピダムは女王の手を握ったまま扉の外へ出、控えていた司量部の部下に敵を捉えるよう命じた。

「ここから逃がすな!残らず敵を捉えよ」

その声にかぶるように女王は乱れた寝衣にピダムの上衣を掛けた姿で

「殺してはならぬ、命あるまま捉えるのだ!」

そう命じて辺りを見回した。
そこには侍衛部の護衛兵と幾つもの女官が無惨に倒れていた。

「侍衛部は敵の陽動にかかったものと思われまする」

「……」

「直ちにアルチョンを呼べ」




あの時の想いは、刺客に忍び込まれたことにも侍衛部が裏をかかれたことにも腹を立てていたがピダムがあの時遅れなければよかったのだという女王というよりは一人の女の遅れた恋人への拗ねたような腹立たしい想い…だが実際はあわやというところでまにあったのだから女王として捕縛の褒美のつもりでその取り調べを司量部にまかせさらなる功を上げる機会を与えたつもりであったが彼は取り調べの最中女王の許可もなく大罪人を勝手に処断した、それはたとへピダムといえど捨て置けぬ事であった。

(ピダム、何故一言も弁解しなかったのだ…)

(お前の越権を許るすわけにはいかないとお前も常から知っていたはずそれを許せばお前を奸臣佞臣よばわりする者共にお前をおとしいれる口実を与えるだけ)

雲に隠れた冷たい月は姿も見せずトンマンの髪に寝衣にそして躰に絡みつく。
寵臣であるがゆえに、お前をもっと側に置きたいがゆえに許すことのできない事がある。

(お前の思いがどうであれ王は等しく慈しみ等しく罰せねばならない…が、私は…)



もう何日トンマンに会っていないだろう…ピダムは自邸で
室に隠ったまま食事すら僅かに粥を食べる程度で誰にも会わず過ごしていた。

あの夜あと一歩自分が遅れればどうなっていたかそれを思うとピダムは己が許せない気持ちであった。

そして、あの取り調べの最中ピダムは百済のフギョンとしれたその口を持たぬかのように開かぬはずのその者の口が愚弄するかのような言葉を発した。

「新羅は女などに国を建たせる者共、その女は美しいといえど石女ではないか百済の王の奴…」

最後までその刺客の言葉は続かなかった。
ピダムの剣が男の目玉を貫き叫ぶ男の咽を低い唸り声を発しながら切り裂いた。

「さ、司量部令!」

ヨムジョンが止める間もなかった。

「ほかの刺客も二度と歩けぬようそして二度といらざる口を叩けぬようにいたせ!」

「ピ、ピダム公!ピダム公!」

ヨムジョンはピダムの言葉に驚き止めようとした。

「王命がございません今回の罪人は…」

ピダムはヨムジョンの言葉に耳をかさなかった。

月の光が細く室に差し込み彼は扉を開け放した。

ピダムはまるで雨のように降りそそぐ月光の中、庭に立った。
彼は衣を剥ぐように脱ぎ捨てて女王に逢えず軋む心と静まらぬ躰を月光に晒した。
褌衣のみで佇むその姿は月の光をうけ抜き身の剣が照り返すようにまるで青白い炎を纏っているようであった。
その炎は押さえつけた女王へ向かう想いの表れ、それはまるで波動のように静寂を保つ空気を震わせていた。

(陛下…私をお呼びください)



夜半の月は煌々と闇を照らし逢えぬ二人の心にその月影を蒼く落としていた…。






続きます…




*夜半の月(よわのつき)お読み頂きましてありがとうございます。








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草春賦

SS 愛だと知らず


『草春賦 』

*******

草は香り桃の花は今は盛りと咲き春の声が聞こえるような日

「ピダム今日は上巳の節句だな」

「はい、民は薬草を摘みそれで躰を撫で厄払いをいたします。またそれとは別に摘んだ草で草餅を作って食べまする。」

「ほぅ…宮殿では薬湯に入り草や雪や桃の餅菓子を食べるだけだ」

「草摘みかぁ…ピダムぅ行ってみたい」

「然し急に宮殿の外へなど、乳母殿に叱られます」

「母さんかぁー…そうだピダム、チュクパンを呼んでこい」

「チュクパンをですか?」

「兄貴は薬草に詳しいから母さんに公主様の厄払いの薬草でも教えると言わせればいい」

「…………」

彼は知恵の回る公主の顔を感心したように見つめていた。

「どうした、ピダムお前は私と出掛けるのは嫌なのか?」

ピダムはトンマンの可愛いい我儘と彼女と一緒に出掛けられる嬉しさに顔がほころぶのを押さえながら

「仕方ありません…それではくれぐれもあまり目立たぬ身なりで決してピダムの側を離れませんよう」

そう言った。

トンマンはこのときばかりは少しだけ神妙な顔をした。



トンマンを馬に乗せてピダムは手綱を引きながら野の道すがら


「ピダム、あれは?」

「ああ、先ほどお話いたしました草摘みにございます。」

「あれが…ピダム降りたい」

「しかし」

トンマンはピダムが必ず受けとめると知っているというようにふわりと馬から躰をはなしピダムに手を伸ばした。

ピダムはトンマンを抱きとめ地に降ろした。
そしてそのままそっと抱き締めるた。腕での中のトンマンはくりっと愛らしい眸とぷくんとやわらかな唇でピダムを下から見上げピダムの胸に甘い苦しみを与えた。

この辺りでは見かけぬ美しい貴族の娘に共のすらりとした背の高い野性的なまだ若い男を草摘みをする若い娘たちが遠巻きに見ていた。

「これはなんという草だ」

「蓬草にございます。餅にすれば旨いですまた蓬草は茶にも薬湯にも灸にもなり、血止めにもなります。」

「なんでもしっているなお前は役に立つ」


ピダムは鼻の頭をポリッと掻きながら真面目にそんなことを言うトンマンを愛らしいと思った。

トンマンは蓬草を摘んではピダムに持たせては民の暮らしぶりを眺めていた…

「ピダム草をいっぱい摘んだから餅が食べたい」

「え!?餅ですか…しかし蒸したりこねたり時間がかかります」

「でも、食べたい。」

「ピダムぅ」

この甘ったれた声でピダムを呼ぶ時は必ず次にとでもない我儘が飛び出すのだが

「はい」

つい可愛いくて返事をしてしまう。

(ユシンだとこうはいかないなーアルチョンなんてますますダメだ母親の胎内に融通という言葉を忘れてきたような者共だ)

トンマンは心でそう思った。

「……この先にいろいろ商う店が建ち並んでございますが」

「餅もあるのか?」

「あると存じますが…」

「ならば行こう」

ピダムが止める間もなくトンマンは歩きだした。



煮物や揚げ物な匂いにの中商いの売り買いの喧騒があちこちをにぎわしている。

「ピダム、面白いな」

少し興奮した様子の無防備なトンマンを愛らしいく思い

「迷子になられては困ります」

そう言ってピダムはそっとトンマンの手をとった。
珍しげに辺りを見るトンマンは無意識にピダムの手をキュット握り返した。

「餅屋がございました」

「どこ?」

「あそこに…」

トンマンはピダムの手を引っ張るようにして小走りになった。

ピダムはトンマンに引っ張っられたまま餅屋の前にいた。

「その草餅を二つくれ」

金を払い餅をトンマンに渡すとトンマンはパクリと食べ口に白い餅粉をつけて

「美味しい」

と満面の笑みをみせた。
その無邪気な様子に愛しくてみとれていたピダムの懐からさっと子供が金袋を掠め取った。

「このっ」

ピダムはトンマンの手をとったままその小汚い小僧を追いかけた。

そしてすばしっこい小僧を幾つか角を曲がった先の袋小路に追い詰めた。

そこには数人の人相の悪い男達がたむろしていた。

「おい、ここに小汚い小僧が来たろう」

「確かに来たが?」

「その小僧に用がある」

「そいつぁ俺の息子でさぁ、いったい何のご用で?」

「俺の懐から金を盗みやがった」

「…これのことで?」

男はぶらぶら金袋を目の前に持上げ揺すった。

「返せ!」

ピダムが言うよりはやくトンマンが言った。
男達はトンマンの美貌に目をみはりニヤニヤ笑った。

「そのお姫様と交換ならこの金を返してやってもいい。」

ピダムはトンマンを荷車の陰に隠すように座らせた。
そして血の気の多い一人が襲いかかってきたピダムは長い足で相手のみぞおちに蹴りを入れそれを合図のように次々に男達が襲いかかってくる、ピダムの拳は相手に当たる瞬間炸裂する。あっという間にピダムの足技と拳は男達を倒していった。
最後に残った頭らしい男が金袋をピダムにほうりなげ媚びるように笑った。

「お前のガキでもないくせに盗みなどさせるな!もっとも本当にお前のガキならなお悪いがな…」

ピダムは許さず拳を繰り出そうとしたが

「もういい…ピダムやめろ!」

トンマンのその声を聞きピダムはトンマンの肩を抱き寄せた。

ピダムは殺気の残る眸で男をいちべつし立ち去ろうとした…が、

「うぉぉー」

と、男がピダムの背に襲いかかってきた。
ピダムは片手でトンマンの眸を覆い隠しもう一方の腕で剣を抜き一撃で男を貫くように倒した。

ピダムのあざやかな立ち回りに人垣ができはじめていた。
二人はそれをぬうようにかわしてやっと人混みを抜けた。

(ピダム…怖かった…)

トンマンは心で呟いた。

ピダムの剣を見たのは初めてではないけれど…



陽が傾きかけた野辺にのんびり草を馬が食んでいる。

「餅、落としてしまった」

ぽつりとトンマンが言った。

「申し訳ありません」

「ピダム血が出ている」

「なんでもありませんこのくらい…」

トンマンは摘んでいた蓬草揉んで傷口に貼った。

「帰ろうピダム…母さんが心配する」

「はい」

「たくさん蓬草も摘んだ、帰ったら草餅を作ってもらおう」

そう言って微笑むトンマンを
ピダムはそっと抱き締める。


大きな春の夕陽はそんな二人を静かに包んでいた…





*こんばんは、お読み頂きましてありがとうございます。

じつはこのSS 一度全部消去されてしまい記憶をたどり再生させたものです。
夕方upしようとして何故か消去してしまいました。
いったんもういいや!と思いましたが思い直して頑張って再生してみました。

桃の節句(上巳の節句)にちなんで春草の香りを書いたものなので…やっぱりupしちゃいました ̄(=∵=) ̄










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